空ゴト日和の庭

主に本とゲーム

2019年読書総括

読書メーターを見ると、なんと68冊しか読んでなくて、一体何があったのかと見直してみたら4月が0でその前後も少なく、そういえばその時期は仕事で精神的にごたついていたのでした。こんなに少ないのならばまとめる必要あるのかなと思ったものの、年一のことですし、簡単に面白かった、印象に残った作品を上げていきたいと思います。

 

◆面白かった作品(新規) 

文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)

文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)

 

 この前読んだばかりなので記憶に明るいです。江戸から明治に移り変わり、武士の生まれから市民となり仕事を覚えるも退職し、お金だけはあるものでぶらぶらしてる青年・高遠が語り部として、弔堂という古本屋の妙に博識な謎の主人が客たちの悩みを解放する様を描いた作品。客たちがみんな有名人で楽しいです。

毒見師イレーナ (ハーパーBOOKS)

毒見師イレーナ (ハーパーBOOKS)

  • 作者:マリア・V スナイダー
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2015/07/18
  • メディア: 文庫
 

これはもっと昔に読んだ気がしてたんですが去年の1月に読んでました。主人公イレーナが奴隷扱いだったり冤罪だったりひたすらかわいそうな目にあいながらも力強く生きていく話。上司であり命を握られている相手であるヴァレクと主人公との関係が最高に爆萌え案件で私の心を鷲掴みにしました。敵対関係でありながら惹かれてしまう微妙な関係性が好きだったため関係が落ち着いた以降の巻を読めていないのが痛恨なのですが、いつか読みたいとは思っています。

夜に啼く鳥は (角川文庫)

夜に啼く鳥は (角川文庫)

  • 作者:千早 茜
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/05/24
  • メディア: 文庫
 

 不老不死の一族たちの今昔、悲哀とこれからの物語。たった一人で生きざるを得なかった不死の少女の悲惨な半生を描いた過去パートと現代を生きる不死の一族の境遇、不死の人らとふらっと関わることになる一般人たちを描いた連作短編集。不老不死もの大好きマンとしては欠かせない一冊になりました。

響野怪談 (角川ホラー文庫)

響野怪談 (角川ホラー文庫)

 

 霊感が強くいつも怖い目にあっている響野家の末っ子・春希の怪談話。前半は怪談らしく何が何だかわからないままの怖い話が中心なのだが後半になると怖い現象に対抗するファンタジー的側面も少し出てきてそのバランスはとても良かった。

女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

  • 作者:千 花鶏
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/03/15
  • メディア: 文庫
 

 新規に入れたもののweb版既読だし、1巻分だけだと何とも言えないので入れるか迷いました。花街の化粧師であった主人公がスカウトされ王女候補の少女と出会い、王女と絆を深めながら国の中枢に関わっていくような話。なので、1巻は序章の中のプロローグレベルです。正直、書籍化するなら一般文芸に近い形で出ると思ってたのでラノベで出たのは意外でした。ジェットコースターのように浮き沈みが激しい物語なのでせめてスタート地点までは刊行してもらいたいです。

 

◆面白かった作品(継続シリーズもの)

掟上今日子の乗車券 忘却探偵

掟上今日子の乗車券 忘却探偵

 
茉莉花官吏伝 七 恋と嫉妬は虎よりも猛し (ビーズログ文庫)

茉莉花官吏伝 七 恋と嫉妬は虎よりも猛し (ビーズログ文庫)

 
薬屋のひとりごと 8 (ヒーロー文庫)

薬屋のひとりごと 8 (ヒーロー文庫)

 

シリーズものなので文章カット。 上記の中でも一番好きなのは断トツで『茉莉花官吏伝』です。人より物覚えが良いという性質を持つ女の子が官吏として様々な問題を解決しつつロマンスも絡みながら上に上がっていく話。私の物語の好きが詰まっています。西尾維新作品は一応全シリーズかじってはいるのですが継続して読み続けているのが掟上シリーズだけです。西尾作品のミステリー(まがいの)ものは大好きです。

 

そんなわけで10冊を上げたものの、もちろんこれ以外にも面白かった、心に響いた作品はたくさんあります。

森博嗣さんのエッセイが好きで、わりと読んでますがこれは前々からでこれからも読みます。後は伊坂幸太郎小林泰三恩田陸作品なども好きなのに大分積んでいたり。ラノベに関してはもはやほぼ少女小説のみになってますが、それでさえあまり新規発掘をしなくなっているのでちょっと読んでいきたいとは思ってます。

 

2019年は、ひたすら冊数が少なくて、2020年はせめて月10冊は読めるようにしたいです。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

今年も宜しくお願います。 

 

以下読書メーター 感想書いてないのでリストだけです

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1/1 明けましておめでとうございます

2019年は6月からこちらのブログへお引っ越しし、何とか順調に継続できそうでホッとしています。仕事も諸々ありまあまあの所へ転職できることなり、総じてまあまあの一年ではあったとは思います。そんなわけで2019年のまとめと2020年へに向けて少し。

2019年にはまっていたもの

本好きの下剋上(web版を知っているがアニメで再浮上)

・レイジングループ(個人的に今年のマイベストゲーム)

・FGO(始めて3年目だけど相変わらずストーリーが最高)

鬼滅の刃(アニメ見てはまりまくった)

・将棋観戦(はまって2年目だけどまだ飽きない)

将棋に関しては、将棋自体というより、ラジオのように解説中継を聴くのが楽しいという状況です。ガチファンから見るとライトファン以下なのであまり大きな声では語れないのですが、これからもこっそり楽しんでいきたいと思っています。

2020年は何といってもゲームがしたい。取りあえずドラクエ11、それと前々から積んでるペルソナ4、5。後、段ボール箱に入っている謎のゲームたちの処分、もといプレイをしていかなくてはならないなと。ほとんどがPS2で正直、未プレイでも仕訳けを考えなくてはならないのだが踏ん切りがつかない。何とかしなくては。

本に関してはおそらく別記事を上げるかと思いますが、年内に十二国記読むという目標はダメでした。何となくそんな気はしてました。かくなる上はもうゆったりと読んでいこうと思います。

ブログに関しては、これからも自分のペースで、できれば週一更新はしていきたいと思っています。2020年も宜しくお願いいたします。

 

2019年12月読了本まとめ

12月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:3093
文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)
読了日:12月30日 著者:京極 夏彦
つんつんブラザーズ The cream of the notes 8 (講談社文庫)つんつんブラザーズ The cream of the notes 8 (講談社文庫)
読了日:12月20日 著者:森 博嗣
制裁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)制裁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:12月15日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ベリエ・ヘルストレム
玉妖綺譚3  (透樹の園) (創元推理文庫)玉妖綺譚3 (透樹の園) (創元推理文庫)
読了日:12月12日 著者:真園 めぐみ
玉妖綺譚2 (異界の庭) (創元推理文庫)玉妖綺譚2 (異界の庭) (創元推理文庫)
読了日:12月10日 著者:真園 めぐみ
玉妖綺譚 (創元推理文庫)玉妖綺譚 (創元推理文庫)
読了日:12月08日 著者:真園 めぐみ
お狐様の異類婚姻譚 元旦那様と鬼の嫁入りに巻き込まれるところです (一迅社文庫アイリス)お狐様の異類婚姻譚 元旦那様と鬼の嫁入りに巻き込まれるところです (一迅社文庫アイリス)
読了日:12月05日 著者:糸森 環
屍人荘の殺人 (創元推理文庫)屍人荘の殺人 (創元推理文庫)
読了日:12月03日 著者:今村 昌弘

読書メーター

8冊。できれば10冊くらいは読みたかったです。前半はコンスタンスに読めたものの、『制裁』と『書楼弔堂』に時間取られました。ただ弔堂に関してはめちゃくちゃ面白くて、寧ろ、面白すぎて続き読むのが勿体ないと遅くなった口です。年間ベスト作るなら絶対入れたいです。

 

12/30 読了本『書楼弔堂 破暁』京極夏彦

 

文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)

文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)

 

これはもうとても面白かったです。
明治20年代の有名人たちがいっぱい出てきます。
古本屋をやっている主人の元に悩みを抱えた人が訪れ、元は僧侶であるが今は還俗したという妙に博識な謎の主人がその悩みを解きほぐすみたいな、ライト文芸でよくあるお悩み相談ものの明治時代京極版という感じでした。しかも、登場人物たちが歴史上の有名人ばかりで、個人的には岡田以蔵さんが出てきたのがめっちゃくちゃ驚きました。何といっても私は元の歴史の話を知らず、FGOでしか知らないので、この時代に以蔵さん生きていたんだ、え、死んでるの?どっち!?と思わずwikiを確認しに行きました。史実上は死んでるけど実は生きていたという設定でした。他は、泉鏡花さんがわりとがっつり出ていて、初めは尾崎紅葉の弟子の少年という呈で登場して、お化けに惹かれて、仕方がないという悩み。尾崎紅葉泉鏡花といえば「文豪とアルケミスト」(ゲーム)を思い出しまして、寧ろ、それでしか知りませんが、京極さん風にアレンジされた様を観れたのは楽しかったです。

それにしても江戸から明治に変わり色々なものが様変わりしている途中という時代観を本当に上手く表現されていて、個人的にはそこが、本当に一番興味深かったです。小説の文章が口語体に変わっていく様や書店の在り方の移り変わりなど、その時代の人間ならではの切り口が本当に面白い。京極さんの大正時代の話とかちょっと読んでみたいですね。

面白かったです。続きも読みます。

 

12/22 読了本『制裁』アンデシュ・ルースルンド

 

制裁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
 

ひたすら救えない話でした。
幼女連続殺人犯が護送中に脱走し、またもや少女が殺された。殺された少女の父親が復讐のため犯人を殺害。世間は父親を擁護する声が多く、民衆は熱狂、一部暴徒化までし、父親を有罪にしようとする検察官にすら危険が及び、犯罪者に制裁は正しいのだと、世間では犯罪者に対する集団リンチが横行する。犯人、殺された少女の父親、当然だとする民衆、犯人を憎む警察、それでも裁判は法の下にすべきという検察など、それぞれの心理描写が鮮明に描かれており、みんながみんな憤り悲しみ怒っていてひたすら救われない。意外性があるわけではなく、ある意味では想像通りの最悪の出来事が次々と起こってしまう。

序盤から幸せな家族が描かれ、その少女に悲劇が襲った時は読み手は強烈な犯人に対する怒りが湧き、ひたすら父親に共感してしまうが、その後の悲劇や、復讐を果たした父親の心境を考えると、復讐というのは殺される犯人のためでは断じてなく、加害者になってしまう人のために絶対にまずいのではと思ってしまいました。

この作者の本は「地下道の少女」を読んだことがあり、それがとても面白く他の作品も読んでみたいと思い、取りあえずシリーズ一作目をと読んでみたのですが、地下道に比べ、随分と遊びがないなと思いました。地下道の方はエンタメ的なミステリー要素が強く、もちろん社会性もあったのだけれどわくわく感の方が勝っていたのですが、本作においてはミステリー性はほぼなく、何かを訴えかけるような作品でした。ただ作者特有の心理描写は健在で、私が特にこの作者に惹かれたのが心理面を織り交ぜた小説の描き方だったりするのでそこは楽しく読めました。正直、あらすじだけだと絶対に読まないタイプの小説です。しかし、この作者の本であるならまた読んでみたいと思ってしまいます。私ってば実は文章タイプを重視する人だったんだなと。あらすじよりも合う合わないってわりと重要ですよね。

本作の内容に戻りますが、ここまで悲劇と制裁が繰り返されたなら、最後に名もなき民衆たちにも何らかの制裁が欲しかったなと。そうすればこのもやもやもどうにかなっただろうが、そのもやもやさせることに意味もあるのでしょうね。

また別の作品も読んでいきたいです。

 

12/8 読了本『玉妖綺譚』真園めぐみ

 

玉妖綺譚 (創元推理文庫)

玉妖綺譚 (創元推理文庫)

 

昔懐かしきコバルトを思い出すようなファンタジーでした。
竜卵石という特殊な石に宿る精霊・玉妖、それは、持ち主の気を取り込み生まれる存在で、持ち主に忠実で美しく、けれど、見えるだけで触れ合えず、玉妖の作り出す"郷"の世界でなら触れ合えるため、そこに囚われ、戻らない人もいる。しかしそれでは、現実の肉体は徐々に衰えていずれ死ぬ運命だという。主人公・彩音は玉妖に魅入られた姉を救うため駆妖師となった。
始めこのあらすじを読んだ時、てっきり姉は物理的に捕らわれているかと思っていたらそうではなくて、玉妖・ほむらに魅入られて、現実世界には戻りたくなくてその世界で伴に死ぬのだと、精神的に囚われているという話だった。しかし、そうなってくると話は想像していたものとちがって、剣を使って妖なんかと戦ったりする世界観なのだけど、どちらかといえば人の意志と意志のぶつかり合いのような話で、主と離れたくないがために人を郷の中に閉じ込める玉妖がいたり、自分の言うことを聞かないからもういらないと玉妖を浄化(殺すこと)しようとするもの、また玉妖に死んだ人間の姿を重ねて"人"として甦らせようとしたり、そんな様々な人と出会い経験することで彩音は姉に対する自分の心と向き合うことになる。
正直いうと、何でこれがラノベじゃないんだっていうくらい絵がないのが悔しくて仕方ない。玉妖たちはみんな"美形"設定で、その玉妖と使い手の人間がコンビを組んで妖と対峙する姿は絶対かっこいいのに!と思うと本当に勿体ないくて。昔、少女小説系統にあったような話はこういう一般文庫に吸収されちゃう形になるのでしょうかね。

そんなわけで、人と人ならざる玉妖との絆を描いたこのシリーズ、既に全3巻と完結まで出ているらしいので続きを読んでいきたいと思います。

 

12/5 読了本『お狐様の異類婚姻譚3』糸森環

 

 神隠しに合い、妖たちの世界で暮らす雪緒が他の妖たちに命を狙われたり執着されたり、白狐の大妖である白月と結婚したり離縁されたりまた結婚を申し込んだりする話、第三弾。

相変わらず、妖にモテモテな雪緒。今回は鬼に攫われ執着される。
鬼が襲撃されたときに傷の手当をしているうちに、何となく馴染んでいって好意を向けられてしまう。妖からの好意は人のソレと違って呪いとも祟りともなり、そのせいでまた大変なことに。前巻の最後で白月への愛を隠さなくなったせいで、ひたすら好きです、愛してる、結婚してください、を繰り返す雪緒が面白い。こんなにストレートに愛を叫ぶヒロインは近年珍しいのでは。その想いが通じたのか、最後には白月の方も結婚に前向きになったもののそこに立ちふさがる古老たち。
次回はそこをどう攻略するかですね。しかし白月と雪緒の結婚に対する思いが一致したのであまり心配はしていません。白月ならきっと何とかしてくれるでしょう。ライバルは多いけど、今までのクセ者感あふれる白月を思うと味方になってくれると思うと頼もしさしかない。(今までも別に敵ではない)
それにしても雪緒の現代日本関係の話は忘れられそうで、忘れさせてくれないですね。ふとした瞬間にポンと新事実を入れてくる。
最後に何かあるんですかね。まさか戻りはしないだろうけど、白月と結ばれてハッピーエンド、とはならないのかな。
続きも楽しみです。