<特に印象に残った本>
本当いうと、今月は、「薬の魔物」シリーズweb版をずっと読んでいて、書籍の方はほぼ読めていないのですが、そのせいで久々に読んだ漫画を挙げるはめになりました。いや夏目友人帳は本当に好きで、私が唯一買い続けている漫画でもあるんですが、改めて読んでもめちゃくちゃ良いです。またアニメ化して欲しいですね。
「皇女アルスルと角の王」
そんなあまり読めてない中での今月のベストオブベストだったのが本作。人外とともに暮らす人々を描いた特殊な世界のファンタジー。皇女でありながら”人外認定”されまわりからはがっかりされ続けた少女が、皇帝殺しの罪をかけられ死刑判決されてからの逆転の物語。始まりから、不憫な少女が逆境を跳ね返す話かと思っていたら、悲惨なのは少女の運命というより世界の在り方でした。不条理な世界に対してそれに抗う英雄譚としての少女の物語。なんといっても、その世界観が素晴らしいですね。でっかいわんちゃんがいて、しゃべって、それが人とともに生きてる。中に挿絵があるのですが、めちゃくちゃかわいらしい。後、文章が本当に丁寧で読みやすく感じた。同じ世界観で、別シリーズがあるみたいなので、それも読んでみたいです。
「後宮の烏2」
1巻がキレイに終わっていたのでどうなるのかと思えば、2巻からは長編としての始まりという雰囲気で、改めて"烏妃"とは何か、何が主人公を苦しめているのかということをしっかりと描かれた話でした。1巻終わりの爽やかさが消え、正直、恋愛どころではない主人公の息苦しさを知り、これも世界の成り立ちから来る謎の理不尽さと戦う話だったのかと、少しやるせなさを感じました。しかし、そんなシステム的な理由をさておくと、本来一人で生きるはずの烏妃のまわりには人が集まり仲間も増えていき、見てる側としては頼もしく感じます。烏妃関連のシステムに関しては、ちょっと昔だとこの手の話はメリバめいたこともあり得るのだけど、最近だと、なんやかんやできっとハッピーエンドにしてくれるでしょうという謎の安心があり、続きを楽しみにしています。
「長い夜の国と最後の舞踏会」
桜瀬さんの別シリーズ作品ですね。正直『薬の魔物』シリーズが好きすぎてこちらを読むのが遅くなってしまいました。復讐の物語という謳い文句もその手のものが苦手な私に躊躇させていたたのですが、読んでみれば相変わらずの桜瀬ワールドでした。向こうのシリーズと違い、多少すれ違っていただけの真っ当なハッピーカップルで、こういうのも良いですね。話的には続きが出そうな雰囲気ですがどうなるんでしょう。
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始めに書いた通り、「薬の魔物」シリーズをずっと読んでいて、多分この先も、全部読んでしまうと勿体ないという思いから、少しずつ少しずつ読んでいくような気がします。いつかも書いたかもしれませんが、こんなに面白く素晴らしい物語がまだネットの世界に眠っていたことに驚きを隠せません。万人が面白いと感じなくとも、この作品を魅力的だと思う少しでも多くの人に届いたらいいなと思います。
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