空ゴト日和の庭

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6/24 読了本『アリス殺し』

 

アリス殺し (創元推理文庫)

アリス殺し (創元推理文庫)

 

 大学生の栗栖川亜理は、ある日自分の見る夢と現実がリンクしていることに気付く。夢の中の不思議の国で死んだ人間と重なるように身近な人間が死んでく。不思議の国で犯人扱いされたアリスは、現実世界でも事件のことを調べることに。

現実世界と不思議の国、双方の人物は共に片方を夢の世界と思い、ぼんやりとしか認識できていない。そんな中でアリスと亜理は初めに接触してきた蜥蜴のビルこと井森くんとともに夢の世界の住人探し、また不思議の国での地球人探しをしていくうちに次々と夢を共有している人達に出会っていく。しかし、事件捜査をしていくうちに関係者が次々と謎の怪死を遂げていき、様相は混乱を極めていく。

 

 今作はタイトル通り『不思議の国のアリス』独特の言葉遊びや言い回しが多くあり、そういうノリが苦手な自分としてはちょっとつらかったです。

現実世界と不思議の国がどういった関係にあるのか、ファンタジーとミステリーがどういった形で収束するのか、犯人がちゃんといるのか、などを考えながら読んでいった本作でした。誰が誰であるかなどは自己申告でしかなく、ところどころにある独白を絶対の手がかりとして、多分ここらへんに何かあるんだろうなぁというところにちゃんと引っ掛けがありつつ、そこはそれやったんかい!という二重の驚きも用意されていて楽しかった。散々残酷なことをしてきた悪人が因果応報な目に合うのも個人的にはマル。世界観設定のオチも面白かった。なるほどこれなら続編できるねと思いました。

 

既に続編が出て気にはなっていますが、気長に文庫化を待ちたいと思います。