空ゴト日和の庭

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9/15 読了本『今昔百鬼拾遺 鬼』京極夏彦

 

今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

 

美由紀ちゃんと敦子の事件シリーズ。先に河童を読んでしまったのだけど本来こちらが先に発売された第一弾。 

美由紀の友達が"昭和の辻斬り"と言われる通り魔に殺されて、犯人も逮捕されたのだけど、それになぜかしっくり来ない。本当は兄(京極堂)の方に連絡しようとしたが、何やらの事件に巻き込まれているらしく(その事件はいつ読めるんですかね)連絡がつかなかった為、敦子に話しを聞いてもらうことに。

事件の概要自体、聞いた瞬間これはアレでこっちが犯人なのではと瞬間的に思ったんですけど、普通ですよね。その為、読んでる最中は答え合わせと、どういう経緯で確実な証拠というか証言に辿りつくか、もしくは"動機"の方は全くわからなかったのでそちらがどうなるかと考えながら読んでました。一応の理論付けはできたものの、何となく曖昧で、起こった出来事自体は単純なのだけど、動機面があやふやで、これは本来説明してくれるはずの京極堂がいないせいなのかなと思ったりもしました。

そんなわけで、事件関連に関しては何となくそうなんだろうなと思いながら読んでいたので、頭に入ってきたのはその時代の背景です。このシリーズはどうも昭和の29年という、戦後でありながら終戦後という微妙な時期を繊細に描いている気がしていて読んでて楽しいです。そして前の巻(河童)でも思ったのだけど、現代との違いが最も出るのが"電話"の存在ですね。それ以外は敦子が現代的な考えを持っているせいもあるけどそのまま現代の話でも通じそうなところで電話の存在ではっとなってしまいます。まあ携帯電話に関してはこんな昔じゃなく20年ほど前ですらそこまで普及していなかったんですけど。

そんなわけで、個人的には『河童』の方が面白かったかな。第三弾の『天狗』も読みたいと思います。