空ゴト日和の庭

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11/12 読了本『カササギ殺人事件』アンソニー・ホロヴィッツ

 

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

 

 面白かった!

ものすごい話題だったのでいつか読もうと読もうと思っておりやっと読めました。とてもアガサクリスティー風味溢れる作品でした。

本作は作中作になっており上巻はほぼその作中作である「カササギ殺人事件」の話です。名探偵が病で余命宣告を受けた後、最後の事件として捜査することになった田舎のパイ屋敷で起こった不可解な事件の話。田舎における噂好きの婦人が事故で死んだ。しかし、その婦人は色んな人の弱みといえるものを握っているらしく嫌われており、殺されたんじゃないかと噂されていた。その噂のターゲットにされた青年の婚約者であるジョイがその噂をどうにかしてほしいと名探偵ピュントに依頼しに来るも探偵には断られてしまう。そんな中、今度はパイ屋敷の主人であるマグナスが殺されてしまい、とうとう警察と名探偵が登場することになる。それぞれの登場人物がそれぞれの事情を抱えており、色んな思惑が入り乱れクリスティー好きには堪らない展開です。そして最後の最後、衝撃の展開で終わります。

続きが見たい!という気持ちを抑えきれず、すぐに下巻をちら見すると、そこはそこで衝撃の始まりがありました。

 

 

そんなわけで下巻の感想はワンブランク開けます。

 

 

 

そんなわけで下巻の感想です。(ネタバレのご注意を)

上巻の最後で名探偵がまさに犯人のことを言おうとした瞬間で終わっており、続きを!続きを読まなくてはという思いで下巻を読むと、何と原稿の結末がないと憤る編集者兼語り手である”わたし”が絶叫しているところから始まります。まさに読者の心情通りです。一旦なぜこんなことになったのか作者であるアランに連絡を取ろうとするとするも、なんとアランの死が発覚します。それは作中の名探偵ピュントが病に侵されていたように、アランも病に侵されそれを苦にした自殺したという報告で、ここから作中と現実の奇妙な符号が現れてきます。元々このアランは作中に現実の人物を反映させることが多く、アランの死に不審を感じとった”わたし”は現行の結末部分を探すという名目で人々に話しを聞いて回り事件を捜査することに。

下巻は主に、現実の事件のことが語られるものの、作中作とは違い、語り手である”わたし”の結婚、仕事、この先の人生について岐路に立たさせることもあり、どうしても生々しく泥臭く感じ、個人的には作中作の雰囲気の方が好きだったりします。

終わってみれば納得のオチが待っており、奇想天外なものではなく、言われてみればとても自然で(動機はともかく)それしか考えられないというミステリーとしては素晴らしいものでした。

 

個人的には上巻のあの雰囲気がとても好きで、下巻に入って少しペースダウンしてしまい読むのに時間がかかってしまいましたが楽しかったです。

海外ミステリーは決して嫌いではないし寧ろ古典名探偵好きとしては好きなのですが、最近は海外ものはファンタジーを読むことが多かったのですがやはりミステリーは良いものですね。また読みたいです。