空ゴト日和の庭

主に本とゲーム

12/30 読了本『書楼弔堂 破暁』京極夏彦

 

文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)

文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)

 

これはもうとても面白かったです。
明治20年代の有名人たちがいっぱい出てきます。
古本屋をやっている主人の元に悩みを抱えた人が訪れ、元は僧侶であるが今は還俗したという妙に博識な謎の主人がその悩みを解きほぐすみたいな、ライト文芸でよくあるお悩み相談ものの明治時代京極版という感じでした。しかも、登場人物たちが歴史上の有名人ばかりで、個人的には岡田以蔵さんが出てきたのがめっちゃくちゃ驚きました。何といっても私は元の歴史の話を知らず、FGOでしか知らないので、この時代に以蔵さん生きていたんだ、え、死んでるの?どっち!?と思わずwikiを確認しに行きました。史実上は死んでるけど実は生きていたという設定でした。他は、泉鏡花さんがわりとがっつり出ていて、初めは尾崎紅葉の弟子の少年という呈で登場して、お化けに惹かれて、仕方がないという悩み。尾崎紅葉泉鏡花といえば「文豪とアルケミスト」(ゲーム)を思い出しまして、寧ろ、それでしか知りませんが、京極さん風にアレンジされた様を観れたのは楽しかったです。

それにしても江戸から明治に変わり色々なものが様変わりしている途中という時代観を本当に上手く表現されていて、個人的にはそこが、本当に一番興味深かったです。小説の文章が口語体に変わっていく様や書店の在り方の移り変わりなど、その時代の人間ならではの切り口が本当に面白い。京極さんの大正時代の話とかちょっと読んでみたいですね。

面白かったです。続きも読みます。