空ゴト日和の庭

主に本とゲーム

2/6 読了本『錆びた太陽』恩田陸

 

錆びた太陽 (朝日文庫)

錆びた太陽 (朝日文庫)

 

面白かったです。ジャンル的には近未来SFファンタジーのような、どちらかといえばファンタジーよりのような気もします。 

 放射能汚染により人が住めなくなった立入制限区域を管理している人型ロボットたちの元へ、ある日、国税庁から派遣されたという謎の女が現れ、その日から想定外の事件が次々と起こることになる。人型ロボットが登場してロボット三原則の話をするあたりはとてもSFなんだけど、放射能の話をするあたりがとても現代チックで、個人的にはそこがちぐはぐに感じて、しかも、汚染地域にはモンスターやゾンビなんかまで徘徊している、なので現代ファンジーよりなのかなと思いました。

 基本的にはロボットたち視点から国税庁の女とのやり取りで話が進み読み手は彼らの会話からこの世界がどんな世界なのかということを知る。ロボットたちは基本的には人の言うことを聞く仕様なのだけど、人を危険な目にを合わせてはならないため、必至にここがどれだけ危険かを説明しながらも、女の自由奔放さに振り回されることになる。

 恩田陸さんの小説ってなぜかあらすじを説明するのが難しいものが多く、この作品もそのうちで、どんな作品なのかと一言では言いづらい。個人的には知らない世界を読み進めながら知っていく、冒険ファンタジー的な楽しさと、ロボットたちが女と出会うことで感情的な何かを動かされることになる痛快なやり取りが楽しく感じたお話でした。もっというと後半部分のネタバレ的な部分がとても面白展開で、この世界の先はどうなっていくんだと、気になって仕方がなかった。続編ないんですよね。

恩田陸作品は、やはり外れがないし面白い。昔のは結構読んでるのですが、最近のは読んでないものが結構あるのでまたガンガン読んでいきたいと思います。