空ゴト日和の庭

主に本とゲーム

4/16 読了本『鹿の王1、2』上橋菜穂子

 

鹿の王 1 (角川文庫)

鹿の王 1 (角川文庫)

 

1、2巻読了。 

何というか、思ったのと大分違った。ファンタジーというか疫病の話だった。国が交じり合い、複雑なことになった民族関係や政治も絡めて、狂犬病のような、犬に噛まれて致死の病に罹り死んでしまうとという”黒狼熱”をめぐる話。

1巻がわりと複雑で色んな側面と世界観を説明したせいか入りづらかったものの2巻に入り段々面白くなってきた。"黒狼熱"に罹っても死ぬものと死なないものがいる。アカファ人とツオル人、支配したものとされた側。片方にだけ死が訪れるのはなぜか。これは単なる病ではなく何者かの意志が介在しているのではと考えに至り始める。このあたりで登場人物が、この病が意図的なものであるならば怖くない、と感じてるシーンがあるのですが、これはまさにその通りなんですよね。病というのは理由なく、原因がなくわからないからこそ怖れがある。今まさに現実がそんな状況なのだけど。しかし物語なのだからきっとそこには理由があって解決してくれるのだろうと希望を持ってます。

また医者側パートとは別に、"黒狼熱"に罹ったにも関わらず生き残ったヴァンとユナのパートがあり、彼らはその日からなぜか特殊な力を感じることになるのだが、2巻までだとそこはまだよくわからないまま。正直、全く知識のないまま読み始めたので疫病関係の話がリアルタイムショックでそっちに話しもってかれました。病気関係やらパンデミック関係やらの話は基本救いがないからあんまり好きでなくて、感染系といえば近いものだと『天冥の標』くらいしか読んだことない。でもあんまり読まないからこそか病状を確認して投薬を試したり分析したり原因を探ったり対処していく様は面白かった。

病の原因、ヴァンの謎の特殊能力、鹿の王というタイトルの意味など、いろいろ判明しそうな次巻を楽しみにしたいと思います。