空ゴト日和の庭

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4/24 読了本『愛と髑髏と』皆川博子

 

愛と髑髏と (角川文庫)

愛と髑髏と (角川文庫)

  • 作者:皆川 博子
  • 発売日: 2020/03/24
  • メディア: 文庫
 

 毒々しい暗黒幻想短編集みたいな話。

すごい面白かった。皆川博子さんのセンスが本当にとても好き。解説に、服部まゆみさんがいて、ああ、この系譜も最高なんだよなと思ってしまいました。

個人的には現実から乖離した作品が好きなので、「悦楽園」とか「猫の夜」のような意味がわらなすぎる残酷さが最高に好きです。「悦楽園」ではある日目覚めたら、主人公は檻に閉じ込められていて餌を与えられ、排せつをするだけの日々、そこから自分が何なのか自答するも物語は残酷な方向へ。「猫の夜」はいまだにこれが何なのかを考えてしまう。歯車にひたすら虐待される犬と世界と自分の関係。何かの寓話であることはわかるのだけどそれがこういう発想になるのかと。理不尽な状況で物語は始まり、そして世界のルールは曖昧なまま物語は終わりを迎える。そしてその物語を何度も読み返しその解釈を自分なりに当てはめていく。その作業が堪らなく興奮しますね。(この表現が果てして適当なのか)

かなりファンタジーよりだった上記2作品以外だと冒頭にあった「風」が短いながら状況が想像できうるピースが散りばめられていてとても美しかった。後は「人それぞれ噴火獣」。これはミステリーじみた部分もあって、もうちょっとこれがああなっていれば悲劇は防げたんじゃないか、みたいな別の視方もしてしまい楽しかったです。

皆川作品には美しい残酷さがあって、心に残る、染み入る作品が本当に多い。他の作品も読んでいきたいです。