空ゴト日和の庭

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10/22 読了本『死体埋め部の悔恨と青春』斜線堂有紀

 

死体埋め部の悔恨と青春 (ポルタ文庫)

死体埋め部の悔恨と青春 (ポルタ文庫)

 

 初・斜線堂有紀としてはまずい作品を読んでしまったかもしれない。
突然襲い掛かってきた男を揉みあいの結果思わず殺してしまった主人公の前に、助けてやろうか、と声をかけてきた謎の男に導かれそのまま死体を埋めて隠してしまった。しかし、男は、死体を埋める仕事をしているらしく、主人公にもそれを強要し流されるまま死体埋め活動をすることになる。謎の男・織賀がわりと狂った男なのでキャラ小説としての側面を前面に見るか、死体の損害具合から何が起こったか推理するということから推理ものとして見るべきか、殺してしまった罪悪感とバレたくないという葛藤を抱えながら死体を埋めるという心理面を描いたホラーものとして見るか、読んでる側としては心持ちが定まらなかった。

読む人によっては主人公・祝部と織賀のほの暗い友情&青春ものとして見るひともいるらしいが、個人的にはそこまでいかなかった。主人公がひたすら罪悪感に苛まれているので、そちらの気持ちに引きずられて、陰鬱な気持ちで読み進んでいた。これが織賀視点か、或は完全に壊れたぶっとんだような性格なら何とかなったかもしれないが、普通の人が殺人を起こしてしまったという心理がついてまわったので、もう自首しろという気持ちしかなかった。

終わり方も自分が想像できうる最悪の終わり方だったのが、ちょっと。2巻が出ているらしいが、流石にここから逆転ミラクルハッピーエンドにはなりそうにない。

作者初作品としては苦いものを読んでしまったのだけど、まさかみんなこんな作品ばかりとは思いたくないので、もう少し何か別の作品を読んでみたい。