空ゴト日和の庭

主に本とゲーム

2022年7月読了本まとめ

先月からずっと、「薬の魔物の解雇理由」を読んでいて、本気で他の本を読めていなのですが、それでも多少なりとも読んでなくもなかったので。

<印象に残った本>

屍介護 (角川ホラー文庫)生命式 (河出文庫)

7月の前期あたりに読めた本。この頃はまだ「薬の魔物」に頭が浸食まではされてなかったです。「屍介護」は訪問介護に行った先で恐怖に囚われるというホラーもの定番の導入から始まり、ミステリー的な不可解なことが続き、謎を追求していくうちに本格的な何か変だぞの流れから怪物的パニックムービー風な流れもあり、最終的にはファンタジー要素(自分的定義)も加わり、だからこの表紙イラストなのねとオチを感じ、なかなか面白かったので作者のことは気にかけようと思います。村田沙耶香さんの「生命式」は、今までの短編集の中では一番落ち着いていて(この表現で良いのか)村田沙耶香さん知る導入書として大変良いのではと思ってしまいました。食べ物、生命に関して今とは違う価値観な世界とそこに生きる人々の短編集です。葬式で故人の体を食べるという風習の世界の話、死した人間の一部を家具や服などに再利用することが普通になっているというパンチの効いた話から、普通と価値観についてのズレに関わる話が多かったように思います。個人的には『素晴らしい食卓』がとても興味深かった。いわゆる"サプリメント"のようなものだけを食べる習慣が流行っていて、普通の料理を食べなくなりつつある夫とそれを疑問に思う妻、魔界の転生者を自称して謎の料理を作る妹や、虫などのゲテモノを食べる人、ファーストフードな嗜好品ばかりを食べる人など、それぞれの食の価値観について衝突し、他人に合わせるのではなく個人個人が好きなものを食べればいいじゃないと結論づけたのだがその後に、、という話なのだけど、最終的に感じることは人によって違うのだろうなと思ってしまいました。村田沙耶香さんの作品はとかく、人によって感想が違うというのが私の思うところで、「コンビニ人間」も多く色んな人に読まれたからこそ感想も溢れ、自分の感性と違うことを書いている人が多く、何が正解ということはないのだけど、それでも人の価値観は本当に違うんだなと思わせます。今回のオチも、結局は他者の価値観を受け入れるのは難しかったのかなという風に受け取りました。村田作品は、何となく、価値観の合わない何かを受け入れるのでなく、自分の価値観を押し通す意志の強い方が幸せになることが多いように思います。

7月はかろうじて2冊は読めたものの、8月はどうなるでしょう。個人的には、本当にそろそろ他の本も読みたいのですが、「薬の魔物」の続きが読みたくてたまらないのです。このシリーズ、おそらく書籍化したなら50巻以上は確実にありそうでとにかく長い。それでいながら、私が終わって欲しくないので読み終わりたくないという葛藤を抱えつつ読んでるせいで、進みは早くない。ならばと、他の本に手を出すべきこそが大正解なのですが、中々そうもいかず。今月はせめて3冊以上は読みたいですね。