空ゴト日和の庭

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8/3 読了本『響野怪談』織守きょうや

 

響野怪談 (角川ホラー文庫)

響野怪談 (角川ホラー文庫)

 

怪談もの大好きなので、作者のことは詳しくないものの直観で買いました。ショートショートばりの短い話のつまったちょっと不思議系の怪談もの。面白かったです。

 響野家の末っ子・春希は怖がりなのに霊感が強く、ヒトではないものたちを呼び寄せてしまう。留守番中を狙ったようにかかってくる電話。何度捨てても家の前に現れるスニーカー。山小屋で出会った少女が寝言を聞かれるのを嫌がる理由……。些細だった怪異は徐々にエスカレートし、春希だけでなく、彼を守ろうとする父や兄たちをもおびやかしていく。
『記憶屋』著者が日常と異界の狭間へと誘う、ノスタルジック・ホラー!

 春希が体験するちょっと怖い話。それでも身の危険というほどではなく、それが何なのかわからないまま、わからないものはわからないままの方が良いという考えで置いておくのはとても"怪談"だと思いました。そのよくわからない怖いものが身の危険レベルにまで及ぶとそれはホラーとなり、その危険に対処できる存在(お祓い的な)があるとファンタジーになると考えているのですが、中盤から後半にかけてそのファンタジーに片足の突っ込んでるような存在も出てきて、個人的にはそのバランスはとてもいい感じでした。番犬の話はかわいかった。こういう存在があると”怪談”からは離れるもののこのキャラの出てくる別のお話も読みたいと思ってしまいます。とうりに関しては、絶対幽霊的な何かだろーと思っていたので正体知れた時はおっとなるほどと思わずページを見返して確認してしまいました。こういう仕掛けは大好き。

それとは別に、怪談的な怖さではなく人間的な怖さが光った話もあり(あえて題名は伏せる)、この中では異色ながらすごく印象に残りました。(あれはあの後どうしたんだろう。犯罪なのでは?犯罪ではないのか?)

 

基本的には春希の一人称で話は進んでいくものの、怖い経験をした同級生や、謎の女の子などレギュラー的なキャラもちらほらいて、何より響野家の謎がわりとあるので続編はあってもいい気がします。

作者のことはよく知らなかったのですが、とても良かったので他の作品も読んでみたいですね。