空ゴト日和の庭

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8/8 読了本『事故物件怪談 恐い間取り』松原タニシ

 

事故物件怪談 恐い間取り

事故物件怪談 恐い間取り

 

 「事故物件住みます芸人」として活動中である松原タニシさんが実際に住んだ物件について語る体験談らしきもの。もちろん芸人としては全然知らない人。本屋で並んでいたのをたまたま見かけて気になって購入したものです。

普通の怪談ものと違い、実際の物件の”いわく”や間取りについて焦点を当てていており、ここではどんな事件(殺人事件、自殺、孤独死)があったのか、その後どんな人が入居したがなぜか数か月後には出て行った、或は、理由はわからないが、その部屋にだけなぜか人が長く住まないなど、現実的にそこにある謎が明示されており、こういう言い方は不謹慎なのかもしれないがミステリーめいていて面白かった。

実際に住んで、そこそこの謎現状もちらほら描かれているが、”怖さ”に焦点があてられているわけではなく、ただただ現象として淡々と描かれているのも個人的にはとても好印象。後、間取り見るの大好きマンなので毎回詳しく載せてくれていて、いい部屋だなぁとか、これでこの値段は高い安い思いながら読めたので(これは本当に個人的に)楽しかった。

ただ、2章からは誰かの事故物件(人の体験談)、3章から土地の事故物件(要するに心霊スポット)についての話になり、途中から普通のよくある怪談レポートみたいになってしまってそこが残念。1章のように物件自体に焦点をあてたような話ならばもっと読んでみたかったなぁと思いました。

 

また、作者が"特殊清掃"という事故物件の清掃を行うアルバイトを体験したことについても書かれているのですが、これがすごかった。当たり前ですが、人が死んだら誰かが片づけなければ勝手にはなくなりません。遺体そのものは警察が引き取るらしいのですが、知ってますか、人って腐敗したら溶けるらしいんです。いや、言い方がおかしかったかもしれません。孤独死なんかで時間が経った遺体なんかだと壁とか床とかに体の皮膚なんかがべったりと付着して蛆がうじゃうじゃ湧いてべとべとになるらしいんです。そういうのをちゃんとキレイにする人がいるんですよ。ぶっちゃけ、殺人事件関係の小説やら映像なら良く見ていたとしてもそんなシーンは見たことがなかったので、そうだよ、そりゃそういう人がいるよなという謎の感動をしました。

 

ところで、私が一人暮らしの物件を探していた頃、3LDK築50年の平屋で2万という謎の物件があって、駅からもそこそこ近いのになぜかずっとあって何でだろうと思っていて、当時は3LDKとか広過ぎていらんと思って詳しく調べもしなかったのですが、もしかして何かしら曰くがあったのだろうかと今なら少し思います。