空ゴト日和の庭

主に本とゲーム

9/6 読了本『平安あや解き草紙』小田菜摘

 

 これは、思った以上に面白かったです。

なんといっても主人公が32歳。とても新鮮です。
自分と半分の年齢である帝(16歳)から想いを告げられ入内を命じられたものの、そこで10年前にとある誤解から別れたかつての恋人・嵩那と再開する。後宮で尚侍として働いてるうちに嵩那に対して想いを抱くようになるも帝に求められている状況ではどうにもならず、という三角関係が繰り広げられるのだった。

三角関係って暗くなりがちであまり好きではないのだけど、思った以上に暗くはならず、おそらく二人ともが、帝(16歳)を大事に思っているせいで、表面上は穏やかに進行する。

お仕事だの謎解きミステリーだのと帯文句にはあったのだけど、イメージとしては完全に恋の話です。少なくともこの巻に関しては、宮中に広がるままならない恋の話が悲恋となりまた不可解な謎として現れる。全てがままならないので、そこは、こう悲劇ものが苦手な私としてはくっとなることも多いのですが、それでも主人公たちは自分の心に折り合いをつけて何とか上手くやっていて、不必要に暗くはならず楽しく読めました。

小田菜摘さんは、古くからいる方で存在は知ってはいたものの、おそらく多分初作家なのですが、中々良いなと思いました。