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3/27 読了本『京都寺町三条のホームズ』望月麻衣

 

京都寺町三条のホームズ (双葉文庫)

京都寺町三条のホームズ (双葉文庫)

  • 作者:望月 麻衣
  • 発売日: 2015/04/16
  • メディア: 文庫
 

 こちらも前々から読みたくて、やっと読めた本です。あらすじだけだとゆるふわ日常ミステリーっぽい何かということしかわからなくて惹かれるものがなかったものの、これだけ続いて根強いファンがいるなら何かしらあるんだろうと気になってはいたのですが、予想外というか予想通りというか面白かったです。

いわゆる、日常系ライトミステリーのあらすじなんて日常の謎を解きます以外に言いようがなく、面白さの決め手は一つ一つのエピソードの内容とそれ以外のキャラクター魅力、ドラマ性になると思うのですが、1巻に関してはそのどれも素晴らしかった。

彼氏と別れ、しかもその彼が自分の親友と付き合っているという情報を知り、すぐに埼玉に帰りたくなり新幹線代を稼ぐために家の骨董品をこっそり持ってきたものの、そのことを店主である清貴に看破され、お金を稼ぐならうちでアルバイトをしないかと持ちかけられバイトをすることに。ここで、主人公の女の子が、確固たる思いがありバイトをするという出だしに、まず自然な流れとドラマ性を感じました。そこから、店主である清貴が実は『寺町のホームズ』と呼ばれてるくらい聡明で色々な人に相談を受けることが多いと知ることになる。個々のエピソードにしても日常の謎(物理)というよりは家族間の問題や、心理面に切り込んでいくタイプのものが多く、そのせいでエピソードごとに出てくるキャラクターたちにも個性が強く、楽しく読めました。個人的には斎王代の話と、鞍馬山荘の話がとても好き。事件後にもちょろっと登場していましたが、また登場してほしいですね。

シリーズ全体の話として、ロマンス成分があるというのは知っていたのですが、冒頭に彼氏云々の話が出てきたのでいきなりそういう話にはならないでしょうと思ってたのですが、最後のエピソードできっぱりかっきり元彼とは縁を切り、清貴との関係はこれからととてもキリの良い終わり方でした。それぞれがほんわか惹かれてるような気配は感じられるので、これからが楽しみ。にやにやしながら見守っていきたいと思います。