空ゴト日和の庭

主に本とゲーム

5/17 読了本『オーダーメイド殺人クラブ』辻村深月

 

オーダーメイド殺人クラブ (集英社文庫)

オーダーメイド殺人クラブ (集英社文庫)

  • 作者:辻村 深月
  • 発売日: 2015/05/20
  • メディア: 文庫
 

 思ってたのと大分違いました。

辻村さんの作品は短編は好きでわりと読んでたものの、長編は何か合わない気がして避けてたんですが、この、学校+殺人というワードに惹かれて読んでしまったものの、やっぱりちょっと、個人的には微妙だったなと。読みやすくもあったんだけど、話の展開や最後のオチなどが、個人的には納得できなく、作者との価値観の違いなのか、そういう風な作りに敢えてしてるのか、とにかく気持ちの悪い感じがしました。

一番以外だったのが、殺人が起こらないということですね。学校や世間に息苦しさを感じている主人公が、ある時、動物を殺している同級生を見つけて自分を殺してくれと依頼する。自分が死んで大人たちや世間をあっと言わせたいと、そこから彼と彼女の秘密の関係が始まる。その間にも先生からの理不尽な扱い、友達同士の微妙な確執からイジメに発生したりと苦しい時間があってもいつか殺してもらえるという希望を持つことで耐えられた。そんな心理描写がメインで”殺人”が起こるわけではなく、結局のところ青春時代の一時の黒歴史、みたいな扱いになってしまったのが個人的には残念でした。

ぶっちゃけいうと、私は学生時代に憧れを抱いているので、あの特殊な空間での、特殊な時代を、人生における重要なファクターであってほしいという想いがあって、大人になってあんなこともあったよねみたいな、そんな風に片づけるのか、それで片づけられる程度なのかなと、振り返って主人公たちが何事もなく暮らしている事実に怒りを覚えてしまったのかもしれない。

最後の最後、結果が違えば、この作品の意味も大分変ってたでしょう。解説では"優しい"と表現されていたけど、多分、私は優しくない残酷な結果を望んでいたのでしょう。