前々からとても読みたくて、やっと読むことができました。
病気の母親のことで学校では苛められ、気の合わないおばあちゃんの家では居場所がなく、夜ごと現れる怪物に不条理で理不尽な物語を聞かされることになる少年。それは悪夢なのか現実なのか。
主人公の少年はなぜか何かの罰を受けたがっているように見えたり、怪物が現れた時ももっと怖い存在を知っているなどと嘯いたりと、一体少年は何を隠しているのか、本当はどういう人間なのか、そして怪物は何なのかということを考えながら読んでました。
わかってしまえば単純な、誰もが思い悩み直面する可能性でもあり、それでもそれが受け入れられず、怪物を作り出してしまった13歳という年齢が絶妙だなぁと思いました。映画版の方では"怪物"の正体がわかるようになっているとちょっとネタバレを観たんですが、とても良い落としどころを用意していて、色々ストンと落ちました。
ただ、自分にとってはリリーから手紙を貰ったあの瞬間が最高にクライマックスで、彼らはもう大丈夫だと。実際に何かが解決したわけでもないのにあの瞬間すべてが塗り替えられた気がしました。母親や父親、おばあちゃんなど家族の問題は独りで立ち向かわなければならないにしても、その外側にも人が、味方がいるんだということに気付くことができたら、ここまで思い詰めることもなかったかもしれないのにね。
これはジャンル的には児童ファンタジーになってしまうのでしょうか。創元推理文庫だし、普通のファンタジー扱いでもいいような気もするけど。ファンタジー良いですね。この手のものを読むと、またこんな作品が読みたいと思ってしまいます。
とても面白かったです。