空ゴト日和の庭

主に本とゲーム

2023年9月読了本まとめ

<面白かった本>

長い夜の国と最後の舞踏会 3 ~ひとりぼっちの公爵令嬢と真夜中の精霊~ (オーバーラップノベルスエフ)公爵さまが、あやしいです 行き遅れ令嬢の事件簿 (コージーブックス)捜し物屋まやま3 (集英社文庫) 

「公爵さまが、あやしいです」

これは2巻目の”公爵さま、いい質問です”というタイトルに目を惹かれて、1巻を手に取ったものだけどめちゃくちゃ良かった。英国19世紀を舞台にしたロマンスミステリー。一昔前の少女小説ミステリーものを思い出すような話。両親を亡くし叔母夫婦に引き取られたものの、内気な性格で26歳にて婚期を逃し、毎日肩身の狭い思いで過ごしていた主人公が、とあるハウスパーティーで殺人事件に遭遇し、偶然にも公爵と鉢合わせしてしまったため、共に事件捜査に乗り出すことになる。普段は引っ込み事案なはずが、高慢な公爵を前にするとなぜか文句ばかりで言いあってしまうというケンカップル好きには堪らない仕様。お互い憎からず思っているはずなのに、ふとしたことから身分差を感じ前に進むことはできないジレジレ仕様。本国では10冊以上シリーズが続いているらしく、これからどうなっていくのか楽しみです。

「捜し物屋まやま③」

シリーズ最終巻?らしいけど、1エピソードが終わっただけの感じなので続いてくれてもいける。機会があれば続きも見たい。今回は白雄の家族関係とルーツの秘密が明らかになる話。最後の最後まで、白雄のクズさが最高で、何も変わることがないまま、これからもこんな関係が続いていくのかなと思った。ただ、個人的に白雄のあくどさが真に理解されないまま(まわりがいい子さんばかりなので)だったのが残念で、敵でも嫌いあっててもいいから、そういう相手がいて欲しかったな。

「長い夜の国と最後の舞踏会③」

作者の遺作でもある描き下ろしが掲載されてる本作。冷静な目では見れなかった。ながよるはWebの方を読んでなかったので完全新規で読んでのだけど、めちゃくちゃ面白かった。これからまさにどんどん面白くなりそうな気配があったのに本当になぜという気持ちが大きすぎる。これからもずっとずっと大好きです。

そして、ながよるがいけたのだから、くすまもの続刊もいけるはず!という思いがますます強くなりました。TOさん宜しくお願いしますね!

10月から角川30%還元祭りが始まるので、また角川本を買いまくる日々が始まる。読む量が全く追いついてないので積読がひたすら増えることになるのだけど、有難いことには変わりはないので他社もやって下さい。買います。

 

以下、読書メーターです。

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2023年8月読了本まとめ

<面白かった本>

捜し物屋まやま (集英社文庫)幽霊城の魔導士 (創元推理文庫)陸軍将校の許嫁 ~お見合いは幽霊退治の後で~ (小学館文庫 Cく 2-2)

「捜し物屋まやま」

先月読んだ吸血鬼の話が面白かったので、こちらも読んでみたのだけど、めっちゃくちゃ良かった。3巻完結という文句だけ見えるんだけど(まだ読んでない)、え、勿体ない。話は、無職引きこもりの三井が家が全焼して行くところなく彷徨っていたところ、捜し物屋をやっているという間山・兄(和樹)と出会い助けてもらうところから始まる。”捜し物屋”とあるけど、話自体は事件ものではなく完全にキャラクター小説。短編形式でそれぞれ別の視点からの展開になっていくんだけど、間山・弟(白雄)のキャラクターが好みすぎてやばい。しゃべれない、イケメン、霊感持ち、謎に暴力的、という感じなんだけど、始めの方はしゃべれないから謎の人物風に見えたのに、最後の白雄視点の独白で、思った以上に口が悪く(?)性格も悪い。最高だった。嗜虐的な思考の持ち主でありながら和樹が嫌がるからと普段は抑え目にしてるものの心の中は隠せない。性格悪いやつが、性格良すぎる奴と一緒にいるおかげで日常生活遅れてる系話大好きなので、ずっと性格悪いままでいて欲しい。お話的には何か白雄が焦点になってきそうな感じもあるのだけどどうなるかな。続きは多分すぐ読みます。

「幽霊城の魔導士」

読み終えてから、別シリーズの前日譚と知ったけど、こちらから読んで良かったのではと思っている。魔導士が差別され虐げられているという世界観の中、三人の少年少女たちが、人が消えると言われている幽霊城の謎と関わりながら自らの生き方を見つけていく成長譚のようなお話。孤児であり虐げられたせいで言葉がしゃべれなくなってしまったルフェ、強すぎる魔力を持ちながらも孤立しているセレス、平凡で臆病な自分が嫌いなギイという対照的な三人の視点で話が進み、どこで出会うのかとわくわくしながら中盤を読みながら、少しずつ謎の欠片が集まっていき最終的に繋がっていく様はミステリー的でもありそこも面白かった。魔法優位のような世界はよくあるけど、魔法を保持していることで差別されるというのはあまり見ないので面白いなと思ったのだけどそこら辺の説明はあまりなく、人に焦点を当ててるような感じだったので、そこは本編で語られるのでしょう。本編シリーズももちろん読みます。

「陸軍将校の許嫁」

これはすごく好みだった。続きが見たい。タイトルからもっとこてこてのラブコメものかと思ったら、どちらかといえば事件を通じて、知り合いから気になる相手へと少しずつ変化していくという、古き良き男女の恋愛模様が見れて大変良かった。こういうの大好き。時代は明治、女学校に通う薙刀好きなお転婆な女の子と、無愛想で堅物ながらも真面目な軍人さんというコンビ。明治らしく、女性は男性に敬意を払っている雰囲気も見えてこういうの好き~となってしまった。主人公まわりの兄や家族なども良いキャラしてたし、何より、許嫁の関係となった二人のこの先が見たいと思ったので、ぜひぜひ続きもお願いします。

8月はコロナかもしれない何かで寝込んでいたので、あまり読めてないのだけど、中々な良作は読めた感じ。

 

以下、読書メーターです。

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2023年7月読了本まとめ

<面白かった本> 

影踏亭の怪談 (創元推理文庫)吸血鬼と愉快な仲間たち (集英社文庫)世界の終わりのためのミステリ (星海社 e-FICTIONS)魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 8 (MFブックス)

 

「影踏亭の怪談」

前回読んだB級ホラー的な怪物が出るのではなく、しっかり現実的(?)なホラー現象が起こりつつも人の手による殺人事件がメインのホラーミステリー。怪談作家である主人公が体験する連作短編。ホラー要素もミステリー要素もここまでしっかりある作品を久しぶりに読んだかもしない。もやっとした謎はちゃんと人の手のものとして解決するし、その上で、解決できない超常現象もあり、すごく良かった。それにしても直接怪物が出るわけでなく、人の意識に働きかけてるホラーは防ぎようがなく形あるものよりある意味一番怖い。しかしそれを生み出した元は人であるともいえるので卵が先か鶏が先かみたいなことを、ホラーが先か人の悪意が先かなんて考えながら読んでいた。

「吸血鬼と愉快な仲間たち」

めちゃくちゃ面白かった。こんな一昔前のブロマンス風な作品が今の世で読めるなんてと思ったら、一昔前のノベルスの文庫化だった。ですよね。昼は蝙蝠、夜は人型と決まった形にしかなれないという半人前の吸血鬼である主人公・アルが、冷凍倉庫内でアメリカから日本に運ばれてしまい、すったもんだの大騒ぎのあげく暁の家に居候として住まうことになる話。私が一昔前の、と思ったのは、この主人公が警察に捕まったり暁の家に連れられたりと落ち着くまでずっとドタバタしていて話が主人公であるアルの冒険譚として機能していたこと。最近の男二人組の話ってあくまで事件ものがメインで主人公の話というわけではない。こんな風に二人の絆がメインで徐々に距離が近づいていく作品(BLではなく)を久しぶりに読んだ。その上でちゃんと事件も存在して、正直一番興奮したのは殺人犯に体を切り刻まれて半死半生(人間なら死んでる)にされたシーン。オリジナルはもっとグロかったらしいと聞いてちょっと読んで見たかった。続編もちゃんと出るみたいで楽しみだ。

「世界の終わりのためのミステリ」

人類がいなくなり、人の記憶を持つヒューマノイドである<カティス>たちが目覚めつつある近未来の話。プログラムにより人を傷つけること自分を殺すことが禁じられたため半永久的に生きることになったカティスである主人公・ミチは本来なら持っているはずの記憶を持っていなかったため生きる意味を持たず自殺したいと考え旅をしている。その中で、なぜ人類は滅びたのか、その命題を考えるため旅をしているアミと出会い一緒に世界を観て回るなか様々な人(カティス)と世界の状況を知る物語。根底として、この世界がどうなっているのか、そのことを考えながら読むのは楽しかったのだけど、ある意味では”命”というのが存在しないカティスたちがどう生きているのかを知る物語でもあった。全体的には数えるほどの人数でそれぞれが穏やかに暮らしているものの生きるためにはそこに強い意志がある。色々な人に出会い、彼ら二人が生きる喜びを知ってくれたら嬉しい。

「魔導具師ダリヤはうつむかない⑧」

6月末から読み始めて7月初めあたりまで、ずっと読んでた。8巻になって少しずつ環境も変わり、ダリヤの地位も上がってきて使えるものが増えてくると同時に更に上の上位貴族の存在もちらちら出始める。王都の話も出ているし、ダリヤの家族も不思議なくらい今まで関わって来なかったので、まだまだ世界が広がる余地があり、これからどうなっていくのか気になるものの、今のところはwebではなく書籍を楽しみに待ちたいと思っています。

総じてみれば、まあまあ良い読書をした月だった。木原音瀬さん、逸木裕さんは既刊があるので他作品も読みたい。

 

以下、読書メーターです。

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2023年上半期覚書

この時期になるといつも上半期まとめをするか悩むのだけど、既に1月のことがうろ覚えなので覚書程度のメモは書きたい。読書とその他はまったもの。

<小説ラノベ

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (電撃の新文芸)Babel I 少女は言葉の旅に出る (電撃の新文芸)月の白さを知りてまどろむ (DREノベルス)

古宮九時作品にとてもはまった。前から名前は知っていて気にはなっていたが暗そうという理由で手が出しずらかった。暗そうという理由は読んでる人の怨嗟の声(?)が聞こえていたからなんだけど、私も一緒に呻き声を出すはめになってしまった。ただ、バベルはちゃんと終わっていて個人的にはとても爽快なハッピーエンドに思えたのでおススメしたい。でも一番好きなのはアンメモです。好きすぎて最新刊が読めてないけど一番好きです宜しくお願いします。

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 1 (MFブックス)

前から読みたかったがやっと読めた作品・その2。このラノとかランキング系の上位で人気なのは知っていたが私の好みには合わないかなと思っていたものの、読んでみたらすごく面白かった。お仕事ものというより人間模様を描いたような作品だった。こういうのをお仕事ものと見るか人間ドラマと見るかは読み手の按配によると思うけど、私は基本お仕事ものといったジャンルが苦手で、仕事の内容やモノ作りの過程などに興味はなくそれに関わった人の心の動きこそが見たいと思う人間なので、この作品はダリヤの生き方を描いた作品のように思えて私から見てもとても面白かったのですよね。やはり人気作品はあらすじで判断せず取りあえず読んでみることも重要だなと思った。

<小説一般>

ナキメサマ 作家・那々木悠志郎シリーズ (角川ホラー文庫)異端の祝祭 佐々木事務所シリーズ (角川ホラー文庫)シュガータイム (中公文庫) 

新しく知った良かった作品の作者三人。前二つが雰囲気似てるけど、「ナキメサマ」はB級ホラーの怪物に対して何の力もない一般人が知恵と知識で何とか対処する話で、「異端の祝祭」は最終的に専門家が物理のアクションで何とかする話。怪物度は後者の方が専門家がいるだけあってやばい、日本支配されそうなレベル。前者は閉鎖された村限定なので日本は支配されない。作品的なロジックや仕掛けが面白かったのは前者で、人間的に魅力があったのは後者。どちらも独自の雰囲気があって面白かった。3つ目、小川洋子作品だけ雰囲気違うけど、これも名前だけは知ってたまたま機会があって読んでとても面白かった作品。ただ淡々と、静謐に描かれる日常の話。家族のこと恋人のこと、周囲との不和に悩まされながら食欲だけは増えていく。文章があまりにも淡々としていて、結構ヘヴィな出来事もあるのにそれを自然に受け入れ、負の感情を持つことなく自然に読めるのは小川さんの文章力のすごさであり特徴だと思う。他作品も読みたいと思ってるが、好きになった作家はなるべく時系列(発表順)に読みたいという思いもあって、でも本屋には大体新刊しか置いていなくてまた今度と読む機会を失ってしまう。本当にちゃんといつか読みたい。

<その他>

山田くんとLv999の恋をする(7) (MFC)シュガーアップル・フェアリーテイル 第1巻 [DVD]薬の魔物の解雇理由@COMIC 第1巻 (コロナ・コミックス) 

「山田くんとLv999の恋をする」アニメが面白くて、漫画を買ってアプリを入れてまあまあはまった。漫画は本当に読まないので、アニメを見て面白いのに出会えるのは本当に嬉しい。「シュガーアップル・フェアリーテイル」アニメが思いのほか良くて、ものすごく久しぶりに円盤を買った。まあ見ることはないんだけど、良いものを作ってくれてありがとうお布施のようなもの。くすまも(薬の魔物の解雇理由)コミック発売したの2月だった。何を読んでもくすまもには敵わない病は続いているけど私の命の糧なので一生続いて欲しい。頼む。そして小説の続きは出して下さい。

2023年上半期はまあまあ新しい作品に出会えてわりといい感じだった。新しく面白い作品に全く出会えなくて継続もので命を繋ぐとという年もあるのに、下半期にこれ並のものに出会えるか。なかったら年まとめはこれと同じラインナップになるな。

 

2023年6月読了本まとめ

<面白かった本>

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 1 (MFブックス)月の白さを知りてまどろむ2【電子特典付き】 (DREノベルス)異端の祝祭 佐々木事務所シリーズ (角川ホラー文庫)山田くんとLv999の恋をする(7) (MFC)

「魔導具師ダリヤはうつむかない」とうとう読み始めました。わりと前から人気なのは知っていたものの、お仕事&日常ものというワードが私に全然響かなかったのですが読んでみたら面白い。これは流石に人気になるはずだと思いました。そもそも”お仕事もの”が好きじゃない私がこれだけ面白いと感じるのだから相当間口が広く幅広い人が面白く感じるのではないでしょうか。始まりはいわゆる転生&婚約破棄ものとテンプレを用意しつつ新しい恋と前世の知識を生かした魔導具を作りながら自立をしていく。恋といっても恋愛要素というほどではなくヴォルフとは友人として少しずつ仲良くなっていくという見ていて微笑ましくなっていく関係。後、ダブル主人公なみにヴォルフ視点の事情が加味されるので個人的にはそちらのパートがすごく好きだったりする。暗い過去を背負っていた彼がダリヤと出会い世界が広がっていく、何か大きな事件があるわけではなく、日常の延長上で少しずつ前に進む様はキャラクターたちの人生の物語という感じがする。現在3巻まで読んだのだけど、家族の話も出てきてますます面白くなっていく。これからも楽しみです。

「異端の祝祭」これも角川ホラーの棚で前からちらちら見かけて気になっていた作品。面白ったです。前半は、冴えない就労性が会社にやっと就職できるもそこでは怪しげな儀式が行われており、少しずつ精神までも犯されていく、というがっつりとしたホラーもの。後半、様子の変わった妹を心配した兄が心霊相談所に行くという話。角川ホラーはキャラものとして売るか一般向けとするかで表紙の雰囲気が大分変わるので、売り手は表紙をどうするか悩んだんじゃなかろうかとも思ったけど、前半のホラー部分の出来がとても良いのでこれはこれで良かったのでしょう。ただし後半が、強大な怪異をバトルでねじ伏せるみたな雰囲気もあるのでそこは人を選ぶかもしれない。私はとても良かった。特に個人的にはホラー部分が。超人的な怪異だけではなく人の心の闇に焦点をあてたサスペンス部分がすごく良くて、この作者の作品はすごく好きだと感じた。他の作品も読んでいきます。

「月の白さを知りてまどろむ 2」1巻の平和さがめちゃくちゃ良かったので、2巻に入りの急転直下、アンメモと同じくキャラが好きになってしまっていたので、読むのがつらかった。みんな幸せになってくれ。アンメモの続きはまだ読めない。好きがゆえに読めない現象is何。月白もそうなってしまいそう。いや読むけど。好きだから!でもやっぱり幸せの話が私は好きだ。

「山田くんとLv999の恋をする」アニメがすごく面白くて、コミックを買い、アプリを入れて、思いのほかはまってしまった。来期(今期)も原作を買いたいと思えるくらいはまれる作品があればいいな。

そんなわけで、6月は「魔導具師ダリヤ」に出会えた月でした。ありがとう。面白い作品に出会えるのはいつだって喜びです。

 

以下、読書メーターです。

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2023年5月読了本まとめ

<特に面白かった本>

Babel I 少女は言葉の旅に出る (電撃の新文芸)Unnamed Memory -after the end-I (電撃の新文芸)月の白さを知りてまどろむ (DREノベルス)漫画家とヤクザ1【電子限定漫画付き】 漫画家とヤクザ【電子限定漫画付き】 (ラブコフレコミックス)   

古宮九時作品づくしの月でした。

「Babel-バベル」

現代女子大生が異世界転移する話。なんだけど、先にアンメモを読んでいたので、知ってるファンタジー世界に現代人が迷い込んだ!みたいな感覚で始まりから楽しかった。元の世界に帰りたいという思いで旅をしながら、殺されかけたり危険な目に合いつつも、世界の真実とともに自分がここにいる理由を知ることになる。とにかく死ぬような目によく合うのが、頻度的には十二国記を彷彿させるレベルなんだけど、十二国記が人の醜さに心が抉られる話ならば、バベルは世界の理不尽さに人が立ち向かう話でもあるので、人は優しい、しかし、それゆえにやるせなさもある話だった。個人的に古宮九時の一つの作品として一番完成度が高いのではと思わせる。雫がそこにいる意味がしっかりと完結しており、終わりも含め綺麗な物語だった。面白かったです。

「アンネームドメモリー

本編6冊+新章1冊目まで読んだところです。アンメモ1巻の感想は前回書いたし真面目なことは置いておいて今思うことを書くのだけど、ティナーシャとオスカーが好き過ぎて毎回つらい。私の中で記憶のあるなしは、ほぼ別人扱いで、新たな人格が好きになった途端に記憶を思い出してその人格が消えるみたいな感覚になってしまうのでとても悲しい。しかもこの感覚って登場キャラからした思い出しただけなので特に何とも思ってなくて、読み手だけがこの拷問のような感覚を覚えなきゃらならないのがなんなのだという気分になるのです。特にこの新章1巻のラジュが、二人の出会いと仲良くなっていく過程が良すぎたため、”この二人”のもう少し先を見たかったなと思っちゃうわけですよ。いや、思い出さなかったらそれはそれで嫌なんだが、でもいずれ思い出すならもう少し後でとか、ごにょごにょ思ってしまう。1つの体に2つの人格は入らない。それはそう。どっちも好き。最新刊は落ち着いたら読みます。

「月の白さを知りてまどろむ」

個人的に一番好みの話だったかもしれない。帯に異類婚とあるように上二作と違ってがっつり恋愛が入ってる気がする。元々私は、対世界の話よりも、個人と個人の話が好きなので。最終的にはこちらも世界と対峙する何かがあるのかもしれないけれど、今の所は、人と神の二つの人格のある女の子と人間である青年とのやり取りがメインで、このコンビで細々とした事件解決しながら仲が深まっていくみたいな、アンメモの1、2巻もそんな感じだったけど、そういうのが好き。とても平和。一生仲良く日常を暮して欲しい。神としての人格は男を求めているのだけど、青年としては人としての女の子の意志を無視できないと渋っている、でも人としての女の子も言いだせないだけで男が好きという謎のトライアングルがかわいい。まだ1巻読んだだけで、Webはもちろん知らないのだけど、これからどうなるのか、できれば二人には幸せになって欲しいですね。

「漫画家とヤクザ」

エロ注意。TL系漫画でこんなに面白いと思ったのは初めだった。TL系小説はまあまあ読んでるのだけど、漫画は、何か合わないなぁと思ってて、でもこれはすごい、漫画が上手いと思ってしまった。始まりは、借金返済を遅らせてもうらうために体を差し出したところ、お互いが惹かれあっていくというある意味定番の話。借金やヤクザというワードから一見シリアスになりそうなものの、そこはフィクションがフィクション力を発揮して寧ろコメディ調のノリで雰囲気は明るい。デフォルメ絵もよく散発されて、一頭身の絵がかわいい。始めは男がイケイケだったのに、意識しだしてからは男がひたすらかわいい。男と女のキュンキュン物語。個人的に一番好きなシーンが、女がゲームしているその隣で男はただ一緒に見てるだけという中、そろそろ終わろうかというところ続きが見たいという男に促されて結局二人で徹夜したという日常の一場面。女ゲーマーの隣でただ一緒に画面を見ていてくれるような理想な男がこんなところにいるな。最高かわいい男キャラがここにいる。物語は全5巻で、構成がしっかりしているので、二人がちゃんと両想いになったところで終了している。もっと二人の何気ない日常とかも見て見たかったよーと思うけど仕方ない。次回作を楽しみにしています。

今回は、やたらと文章が長くなってしまった。古宮九時作品良かったです。アニメ化決定!から読み始めたのが理由なのだけど、いざ今アニメ化を思うと、これをちゃんとアニメ化できるのかと不安しかない。

以下、読書メーター。溢れた他感想あります。

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2023年4月読了本まとめ

<面白かった本>

茉莉花官吏伝 十四 壺中の金影 (ビーズログ文庫)Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (電撃の新文芸)仙文閣の稀書目録 (角川文庫)さらわれた王女と吸血鬼王【特典SS付】 (アイリスNEO) 

あんまり読めてないのもそうなんだけど、新刊が茉莉花官吏伝のみで、それ以外はかなり古めの作品ばかりというね。

「Unnamed Memory1」

いつか読もう読もうと思っていて、はや数年、アニメ化が決まったということで今度こそ読もうと、やっと読めた本作。内容は全く知らないかったのだけど、イメージとして壮大な、シリアスで難しそうな話だと思って先伸ばしにしていたんだけど、読んでみたら、読みやすく、どちらかといえばポップな日常系にすら感じた。あとがきの作品説明があまりにも的を射てるので、その文句をもっと前面に出してもいいのでは。呪われた王太子が呪いの効かないヒロインに結婚してという押せ押せの話だった。その中で細かなミステリーめいた事件が起こってそれがやがて大きな話に発展していくというお手本のようなきれいな展開でこれからどうなっていくのかとても楽しみな話。今カドカワ祭りで実質50%オフみたいなもんだし今月中に集めたい。

「仙文閣の稀書目録」

シュガーアップルに再ハマりして三川みり作品が気になってきたので読みだした。主人公の親代わりでもある老師が処刑され、形見である本を守るためなら自分の命すら惜しくないと自暴自棄になった女の子が生きる希望を見つけ前を向いていくまでの話。必ず本が守られるという”仙文閣”という場所のことよりも、主人公が心の整理をするまでの話が焦点になっていて、それ以外の謎にはあまり触れられなかったので、まさにここから物語が始まるという感じなのでぜひ続きは欲しい。麗考との関係性もこれから近づいていきそうで、同じ部屋で寝ていて全く意識しない男女とか大好物なので5巻くらい意識しなくて大丈夫ですよ。これからの二人がとても気になるので本当に続きは下さい。

「さらわれた王女と吸血鬼王」

性癖ド直球だった。よわよわ主人公な女の子が、吸血鬼王にさらわれて囲われて執着される話。女の子がひたすら男に怯えてるのが最高だった。ヒーロー側の男が無自覚のくせに天然系なので自分の行為の意味もわからず、気に入ったからといって女の子を囲って、意味に気付いてからも女の子側の意志は関係ないとばかりに行動もぶっ飛んでいて、二人が分かり合ったのは最後の最後。こういう意味わからない系ヒーロー大好きです。最近、文字制限のないWeb系が流行りだしてからは、基本ヒーローの心情は描かれて当たり前みたいな風潮になりつつあるけど、他人なのだからわからなくていい、個人的にはそう思う。たまにチラ見せするくらいがちょうど良いのです。

最近、Web小説「閣下が退却を命じぬ限り」に嵌っています。めちゃくちゃ面白い。読んでる最中なのでネタバレ防止のために情報制限してるのだけど、これで書籍化してないはあり得ないでしょう。コミカライズしてる場合ではない。書籍化しなさい。感覚的には「茉莉花官吏伝」枠な面白さ。主人公がわりと強めなスーパー主人公で事件に対処して、ヒーローとの恋愛はおまけ枠だけど重要なところではしっかりヒーローしてるくらいな強キャラなので安心感もあってちゃんとキュンキュンもする。最高。GWはこれで埋まりそう。

 

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