空ゴト日和の庭

主に本とゲーム

2023年7月読了本まとめ

<面白かった本> 

影踏亭の怪談 (創元推理文庫)吸血鬼と愉快な仲間たち (集英社文庫)世界の終わりのためのミステリ (星海社 e-FICTIONS)魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 8 (MFブックス)

 

「影踏亭の怪談」

前回読んだB級ホラー的な怪物が出るのではなく、しっかり現実的(?)なホラー現象が起こりつつも人の手による殺人事件がメインのホラーミステリー。怪談作家である主人公が体験する連作短編。ホラー要素もミステリー要素もここまでしっかりある作品を久しぶりに読んだかもしない。もやっとした謎はちゃんと人の手のものとして解決するし、その上で、解決できない超常現象もあり、すごく良かった。それにしても直接怪物が出るわけでなく、人の意識に働きかけてるホラーは防ぎようがなく形あるものよりある意味一番怖い。しかしそれを生み出した元は人であるともいえるので卵が先か鶏が先かみたいなことを、ホラーが先か人の悪意が先かなんて考えながら読んでいた。

「吸血鬼と愉快な仲間たち」

めちゃくちゃ面白かった。こんな一昔前のブロマンス風な作品が今の世で読めるなんてと思ったら、一昔前のノベルスの文庫化だった。ですよね。昼は蝙蝠、夜は人型と決まった形にしかなれないという半人前の吸血鬼である主人公・アルが、冷凍倉庫内でアメリカから日本に運ばれてしまい、すったもんだの大騒ぎのあげく暁の家に居候として住まうことになる話。私が一昔前の、と思ったのは、この主人公が警察に捕まったり暁の家に連れられたりと落ち着くまでずっとドタバタしていて話が主人公であるアルの冒険譚として機能していたこと。最近の男二人組の話ってあくまで事件ものがメインで主人公の話というわけではない。こんな風に二人の絆がメインで徐々に距離が近づいていく作品(BLではなく)を久しぶりに読んだ。その上でちゃんと事件も存在して、正直一番興奮したのは殺人犯に体を切り刻まれて半死半生(人間なら死んでる)にされたシーン。オリジナルはもっとグロかったらしいと聞いてちょっと読んで見たかった。続編もちゃんと出るみたいで楽しみだ。

「世界の終わりのためのミステリ」

人類がいなくなり、人の記憶を持つヒューマノイドである<カティス>たちが目覚めつつある近未来の話。プログラムにより人を傷つけること自分を殺すことが禁じられたため半永久的に生きることになったカティスである主人公・ミチは本来なら持っているはずの記憶を持っていなかったため生きる意味を持たず自殺したいと考え旅をしている。その中で、なぜ人類は滅びたのか、その命題を考えるため旅をしているアミと出会い一緒に世界を観て回るなか様々な人(カティス)と世界の状況を知る物語。根底として、この世界がどうなっているのか、そのことを考えながら読むのは楽しかったのだけど、ある意味では”命”というのが存在しないカティスたちがどう生きているのかを知る物語でもあった。全体的には数えるほどの人数でそれぞれが穏やかに暮らしているものの生きるためにはそこに強い意志がある。色々な人に出会い、彼ら二人が生きる喜びを知ってくれたら嬉しい。

「魔導具師ダリヤはうつむかない⑧」

6月末から読み始めて7月初めあたりまで、ずっと読んでた。8巻になって少しずつ環境も変わり、ダリヤの地位も上がってきて使えるものが増えてくると同時に更に上の上位貴族の存在もちらちら出始める。王都の話も出ているし、ダリヤの家族も不思議なくらい今まで関わって来なかったので、まだまだ世界が広がる余地があり、これからどうなっていくのか気になるものの、今のところはwebではなく書籍を楽しみに待ちたいと思っています。

総じてみれば、まあまあ良い読書をした月だった。木原音瀬さん、逸木裕さんは既刊があるので他作品も読みたい。

 

以下、読書メーターです。

 

7月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:5946

影踏亭の怪談 (創元推理文庫)影踏亭の怪談 (創元推理文庫)
読了日:07月31日 著者:大島 清昭
吸血鬼と愉快な仲間たち (集英社文庫)吸血鬼と愉快な仲間たち (集英社文庫)
読了日:07月31日 著者:木原 音瀬
悪役令嬢は溺愛ルートに入りました! ?(3) (SQEXノベル)悪役令嬢は溺愛ルートに入りました! ?(3) (SQEXノベル)
読了日:07月29日 著者:十夜,宵マチ
悪役令嬢は溺愛ルートに入りました!?(2) (SQEXノベル)悪役令嬢は溺愛ルートに入りました!?(2) (SQEXノベル)
読了日:07月29日 著者:十夜,宵マチ
悪役令嬢は溺愛ルートに入りました! ?(1) (SQEXノベル)悪役令嬢は溺愛ルートに入りました! ?(1) (SQEXノベル)
読了日:07月29日 著者:十夜,宵マチ
転生悪役令嬢は、氷の侯爵を決死の覚悟で誘惑する バッドエンド回避で溺愛ルート突入です! (ガブリエラブックス)転生悪役令嬢は、氷の侯爵を決死の覚悟で誘惑する バッドエンド回避で溺愛ルート突入です! (ガブリエラブックス)
読了日:07月26日 著者:茜たま
指輪の選んだ婚約者3 花嫁修業と騎士の最愛 (アイリスNEO)指輪の選んだ婚約者3 花嫁修業と騎士の最愛 (アイリスNEO)
読了日:07月19日 著者:茉雪 ゆえ
指輪の選んだ婚約者2 恋する騎士と戸惑いの豊穣祭 (アイリスNEO)指輪の選んだ婚約者2 恋する騎士と戸惑いの豊穣祭 (アイリスNEO)
読了日:07月19日 著者:茉雪 ゆえ
指輪の選んだ婚約者 (アイリスNEO)指輪の選んだ婚約者 (アイリスNEO)
読了日:07月18日 著者:茉雪 ゆえ
世界の終わりのためのミステリ (星海社FICTIONS)世界の終わりのためのミステリ (星海社FICTIONS)
読了日:07月18日 著者:逸木 裕
ぬばたまの黒女 (角川ホラー文庫)ぬばたまの黒女 (角川ホラー文庫)
読了日:07月14日 著者:阿泉 来堂
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 8 (MFブックス)魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 8 (MFブックス)
読了日:07月12日 著者:甘岸久弥
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 7 (MFブックス)魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 7 (MFブックス)
読了日:07月11日 著者:甘岸久弥
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 6 (MFブックス)魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 6 (MFブックス)
読了日:07月10日 著者:甘岸久弥
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 5 (MFブックス)魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 5 (MFブックス)
読了日:07月09日 著者:甘岸久弥
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 4 (MFブックス)魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 4 (MFブックス)
読了日:07月08日 著者:甘岸久弥
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 3 (MFブックス)魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 3 (MFブックス)
読了日:07月07日 著者:甘岸久弥
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 2 (MFブックス)魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 2 (MFブックス)
読了日:07月06日 著者:甘岸久弥
殺人鬼にまつわる備忘録 (幻冬舎文庫)殺人鬼にまつわる備忘録 (幻冬舎文庫)
読了日:07月03日 著者:小林 泰三

読書メーター

他プチ感想

「悪役令嬢は溺愛ルートに入りました」

どこぞのランキング上位にあったので読んでみたが、私には合わなかった。雰囲気はめふらに似てるかも。主人公がチート属性でそれに惹かれて男性に好かれるが、悪役令嬢的に破滅を回避するために関わってはいけないのですと、避けようとするもなんやかんやで関わっていく。しかも、主人公が恋してないので恋愛ものでもない。この点、はめふらの方がまだ恋愛成分はあるかな。3巻まで読んでダメだったのでもう良いでしょう。

「殺人鬼にまつわる備忘録」

これは面白かったので、上に入れるか迷ったけど、結局新規を優先した。小林泰三さん好きだ。人の記憶を書き換えられるという能力を持つ殺人鬼と、数時間しか記憶が持たないという病気の主人公の対決の話。そもそも記憶が保たないからこそ殺人鬼の能力が意味を持たず、主人公は手書きのノートを見ながら状況を把握し、対策していく。すごく面白かった。けど、この話を読んで、実際、記憶操作系の能力者は病気の人に対しどう影響するんだろうなとふと思ってしまった。